イギリスのハンプシャー(Hampshire)で開催された音楽フェスティバル「ブームタウン・フェア(Boomtown Fair)」で、初めて1人で参加した24歳のアダム・ジェームズ(Adam James)さんが、見知らぬ若者たちのグループに迎え入れられ、5日間の滞在を共に過ごしました。自閉症と注意欠如・多動症(ADHD)があるアダムさんは、1年間働いて費用を貯めて参加しましたが、家族は大規模な会場の刺激に圧倒されないか心配していました。父親のアンディ(Andy)さんは、事態があれば車で迎えに行く準備までしていたといいます。

テント用木づちの貸し出しがきっかけに

会場のキャンプ場でアダムさんがテントを設営していた際、近くにいたブリストル(Bristol)出身の男性グループから木づちを貸してほしいと声をかけられました。アダムさんが1人で来ていることを知った若者たちは、すぐに自分たちのテントの輪の中にアダムさんのテントを移動させ、一緒に過ごそうと誘いました。

I couldn't live with myself letting him be on his own so we took him in

彼を1人にしておくなんて耐えられなかったので、仲間に迎え入れました

出典: “I Think I’ve Found My People”: Group of Guys Take Lonely Man With Autism Under Their Wing at Festival, Give Him the Bes

グループの1人であるキアラン・ハーニマン(Ciaran Herniman)さんは、当時の判断について語っています。アダムさんは普段、自閉症であることを他人に打ち明けることはほとんどありませんでしたが、居心地の良さからグループに打ち明けることができました。キアランさんは、人はそれぞれ違っていて当然であり、誰も偏見を持たないと答えました。

SNSでの感謝からDJ出演へ

フェスティバルの終了時、アダムさんは涙を流して別れを惜しみました。父親のアンディさんは、息子を温かく迎えてくれた若者たちやその両親へ感謝を伝えるためフェイスブック(Facebook)に投稿を行いました。この投稿はインターネット上で拡散され、数万件以上の反応を集めました。

アズゾ(Adzo)の名義でドラムンベースのDJを目指していたアダムさんには、話題を知った関係者から演奏の依頼や講座への招待が相次ぎました。ブームタウン・フェアの共同設立者ルーク・ミッチェル(Luke Mitchell)氏からも声がかかり、アダムさんは2027年の同フェスティバルでDJとしてステージに立つことが決定しています。

見知らぬ誰かを孤立させず輪に入れた若者たちの行動は、アダムさんに新しい友人をもたらし、音楽の道を大きく前進させる契機となりました。